COLUMN2020.02.25 UP

額縁屋さんの「フレームのある生活」 | 06

30年以上日本で暮らすオランダ人社長の、たくさんの「フレームのある生活」後編

前回に引き続き、今回はラーソン・ジュール・ニッポン株式会社の代表取締役、ヤーリンク・オンノさん(2020年8月退任)のお宅をご紹介します。

 

低反射ガラス・アクリルの魅力

角丸デザインのカラー塗装仕上げのフレームに、赤ちゃん時代のお子さんの写真を入れたものも、2階の廊下に飾られています。2つの写真を見比べてみると、赤ちゃんの写真だけ光が反射して、周りのものが写りこんでいることに気付きます。これは光の加減でそうなっているのではなく、高校卒業の記念写真の額装品のほうにだけ、低反射のガラスが使われているためです。

「低反射やUVカットのガラスとアクリルは、ラーソン・ジュールで働くようになってから詳しく知るようになり、自宅の額装品のガラスを少しずつ入れ替えることにしたのですが、入れ替えてみるとその見映えの差は歴然で、普通のガラスが入っているものが却って目立って気になるようになってしまいました。どの写真も作品も、思い入れのある大切なものなので、今後も少しずつ低反射やUVカットのものに交換していきたいと思っています。」

今回リビングで撮影されたご自身の隣に飾られている絵(画像左)も、つい最近低反射UVカットのアクリルに交換されたばかりです。来日前の1985年に当時住んでいたアムステルダムのギャラリーで購入したオリジナル作品は、元々の額装に使われていたマットが保存品質ではなかったために、フォクシングと呼ばれる酸焼けによるシミができてしまっていました。状態をこれ以上悪くしないために、保存品質のマットボードに交換もされたそうです。右の額装品は通常のアクリルを使用していて、その差は歴然です。

手作りの家具がたくさんの、あたたかなインテリア

リビングには洋館らしく、暖炉もあります。暖炉の隣にはもともと作り付けの本棚があったのですが、それをご自身で改造して本棚の両サイドに照明を入れられています。「障子紙を使った間接照明で、柔らかく暖かい雰囲気が出るし、本棚も同じ幅のものが3列並んでいるよりも変化が付いて見映えが良くなった、と自分でも気に入っています。」

(左画像)本棚と照明のそばの壁に飾られているのは、クリスマスリース代わりのアートだそうです。神戸在住のアメリカ人のアーティストによるもので、着物を使ったリース状の作品です。ヤーリンク家ではクリスマスになるとこの作品とクリスマスツリーを飾り、今では貴重になってしまった家族全員での団らんを楽しまれているそうです。

日本での生活が長いこともあり、日本らしい作品もたくさん飾られています。キッチンへ続くドアの周りに飾られているのはオリジナルの浮世絵です。ドアの上に飾られた作品はお子さんが学生時代に描かれた静物画だそうですが、額のデザインを角丸で統一しているので全体の雰囲気にまとまりが生まれています。

長年様々な文化に触れてこられたヤーリンク社長らしい、多様なスタイルが融合したすてきなインテリアのお宅でした。それぞれのデザインは比較的シンプルなものが多いですが、たくさんのアートや写真を飾ることで、個性の溢れる空間になっているのが印象的でした。

 

次回は前々回のコラム『シンプル好きの、素朴な「フレームのある生活」』で登場したマット加工担当・田中さんの夫、増田さんのお部屋を特集します。
昔のアニメのミニフィギュアや、玩具を使った額装をプライベートでも趣味で作っているという増田さん。
マニアックな世界観を表現するために細部に込められた手作業の緻密さに引き込まれます。来月の更新もぜひご覧ください!